注意: この FAQ は情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を提供するものではありません。
私たちの目的は、米国における Tor をめぐる法的問題の一般的な説明を提供することです。
状況や法的管轄権が異なれば、多くの質問に対する回答も異なるものとなります。
したがって、この情報だけで行動しないでください。特定の法的問題、課題、疑問がある場合は、あなたの法域で資格を持つ弁護士に、あなたの状況を完全に把握してもらうようにしてください。
また、このドキュメントを EFF のウェブサイトまたは https://sgapqzbrdr.oedi.net/ja/relay/community-resources/eff-tor-legal-faq 以外から入手した場合は、情報が古い可能性があります。リンクをたどって最新版を入手してください。
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一般情報
Tor を運用したことで訴えられたり起訴されたりした人はいますか?
Tor リレーを運用したことで個人が訴えられたり、起訴されたり、有罪判決を受けたりしたことは確認されていません。ただし、米国およびその他の国の法執行機関は、Tor リレーを運用している個人を誤って捜査することがあります。
私たちは、人々が匿名でトラフィックを送受信できる出口リレーを含め、Tor リレーを運用することは、米国法の下では合法であると考えています。しかし、法執行機関はしばしば Tor の仕組みを誤解し、ネットワーク上の違法なトラフィックを Tor の出口リレーから発信されたものだと見なしてしまうことがあります。
その結果、警察は Tor リレーオペレーターを犯罪者として疑い、Tor リレーを含むコンピューター機器を押収することもあります。
例えば、2016年にシアトル警察は、Tor の出口リレーを運用していたプライバシー擁護活動家の自宅を誤って家宅捜索しました。
また、ロシア当局は数学講師で Tor リレーオペレーターの Dmitry Bogatov を不当に逮捕しましたが、後に彼の容疑は晴れました。
Tor を違法な目的で使ったり、Tor の違法な目的での利用を推奨したりすべきでしょうか?
いいえ。Tor は、表現の自由、プライバシー、人権のためのツールとして開発されました。このツールは、Tor ユーザーや Tor リレーオペレーターが法を犯すために使うことを設計または意図したものではありません。
EFF は、私が Tor リレーを運用することでトラブルに巻き込まれないと約束できますか?
いいえ。すべての新しい技術は法的な不確実性を生みますが、Tor も例外ではありません。
私たちは、あなたが Tor リレーを運用した結果、いかなる法的責任にも直面しないことを保証することはできません。
しかし EFF は、Tor リレーオペレーターは、リレーを通過するトラフィックに対して責任を負うべきではないと強く信じており、独自の中間リレーを運用しています。
Tor リレーを運用してトラブルに巻き込まれた場合、EFF は私の代理人になってくれますか?
おそらく。EFF はすべての Tor リレーオペレーターに法的代理人を約束することはできませんが、リレーオペレーターが状況を判断するのを支援し、必要に応じて適切な弁護士を探すよう努めます。
法的代理人の確保または紹介を目的とした EFF へのお問い合わせは、info at eff.org にメールをお送りいただき、EFF のインテークコーディネーターまでお願いします。
このような問い合わせは、弁護士と依頼人の特権の範囲内で秘密保持されます。
なお、EFF は米国外で弁護士業務を行うことはできませんが、米国外のリレーオペレーターが現地の代理人を見つけるのを支援できるよう努めます。
警察の訪問や強制捜査、取調べにどのように対処すべきですか?
警察に拘束され、取り調べを受けた場合、取り調べの前や最中に弁護士と相談する権利があります。
そのため、「私は弁護士を依頼し、黙秘します」と言って、弁護士と話す機会が得られるまで取り調べを拒否するのが最善の方法です。
しかし、弁護士の援助を受ける権利を放棄し、弁護士なしで質問に答えることにした場合は、必ず真実を話してください。
法執行機関に嘘をつくと、そもそも法執行機関があなたと話したかったことが何であったとしても、それ以上のトラブルに発展する可能性があります。
米国の法律では、Tor ネットワークは民事訴訟から保護されていますか?
はい。連邦法である合衆国法典第47編第230条 (しばしば第230条と呼ばれる) は、言論を提供または再掲載するオンライン仲介者に法的免責を与えます。
特定の犯罪や知的財産に基づく申し立てについては重要な例外がありますが、230条の免責は、Tor ネットワークのようなオンラインサービスを、他者の発言に対する法的責任を問うために使われる可能性のある様々な法律から保護しています。
また、もう一つの連邦法、デジタルミレニアム著作権法の一部である合衆国法典第17編第512条(a) は、Tor リレーがそうであるように、単に変更されずに送信されるコンテンツに基づく著作権侵害の申し立てに対するセーフハーバーを提供しています。
Tor について法的な質問がある場合、または Tor が違法な目的で使用されている疑いがある場合は、Tor の開発者に連絡するべきですか?
いいえ。Tor の開発者は技術的な質問には答えることができますが、弁護士ではないため、法的なアドバイスはできません。また、Tor リレーを介して発生する可能性のある違法行為を防止する機能もありません。
さらに、Tor の開発者との通信は、いかなる法的特権によっても保護されていないため、法執行機関や民事訴訟関係者は、あなたが提供した情報を召喚して入手することができます。
特定の法的問題に直面した場合は、info@eff.org までご連絡ください。できる限りお手伝いさせていただきますが、EFF の規模は小さいため、すべての方のお役に立てるとは限りません。
Tor の主要な開発者は、ディレクトリーに掲載されている Tor リレーの信頼性や信用性について何らかの約束していますか?
いいえ。主要な開発者が管理するディレクトリーに掲載された Tor リレーが安定しており、十分な帯域幅を持っていることを確認しようと試みていますが、開発者も EFF もリレーを運用する個人の信頼性や信用性を保証することはできません。
さらに、Tor の主要な開発者は、Tor リレーオペレーターのディレクトリーへの掲載要求を拒否する権利、あるいは理由の如何を問わずディレクトリからリレーを削除する権利を留保します。
出口リレー
出口リレーは、そこから出るトラフィックがリレーの IP アドレスまでさかのぼることができるため、特別な懸念が生じます。
出口リレーの運用は合法であると私たちは考えていますが、違法行為に出口リレーが使用されることを阻止することは事実上不可能です。
そのため、民間の訴訟当事者や法執行機関の注目を集める可能性があります。
出口リレーは、違法と見なされるトラフィックを転送する可能性があり、そのトラフィックはリレーのオペレーターに起因する可能性があります。
実際に警察は、出口リレーからのトラフィックをリレーのオペレーターからのものであると誤認したことがあります。
そのようなリスクに対処したくない場合は、ブリッジや中間リレーの方が適しているかもしれません。
これらのリレーはトラフィックをインターネットに直接転送しないため、違法とされるコンテンツの発信元と簡単に間違われることはありません。
Tor Project のブログには、可能な限りリスクを抑えて出口リレーを運用するための優れた推奨事項がいくつか掲載されています。出口リレーを設定する前に、これらのアドバイスを確認することをお勧めします。
自宅で出口リレーを運用するべきですか?
いいえ、これは危険なのでお勧めしません。
法執行機関があなたの出口リレーからのトラフィックに疑いを持った場合、警察官はそのトラフィックがあなたの家から発信されたものであると誤って判断する可能性があります。
これは法執行機関があなたの自宅を強制捜索したり、あなたのコンピューターを押収したり、あなたに犯罪活動の容疑をかける結果となる恐れがあります。
以上の理由から、自宅で出口リレーを運用したり、自宅のインターネット回線を使用することは避けるべきです。
これらのリスクを考え、代わりに Tor をサポートする商業施設で出口リレーを運用することをご検討ください。出口リレー用に別の IP アドレスを用意し、独自のトラフィックを経由させないようにしましょう。
もちろん、出口リレーをホストしているコンピューターに機密情報や個人情報を保存することは避け、絶対にそのコンピューターを違法な目的で使用しないでください。
これらのリスクがあっても自宅から出口リレーを運用する場合は、ISP への報告や出口リレー用の別の IP アドレスの取得など、Tor の推奨事項をご確認ください。
出口リレーを運用していることを ISP に伝えるべきですか?
はい。出口リレーを運用していることを知っていて、その目標をサポートしてくれる Tor フレンドリーな ISP があることをご確認ください。
そうすることで、あなたのインターネットアクセスが不正利用の苦情によって遮断されないようにすることができます。
Tor コミュニティは、特に Tor に詳しいISPとそうでないISPのリストを管理しています。
出口リレーを運用していることを他の人に知らせるのは良いことですか?
はい。出口リレーを運用しているという事実をできるだけ透明にしてください。
あなたの出口トラフィックが政府や不満のある民間団体の注意を引いた場合、あなたが Tor ネットワークの一部であり、コンテンツに責任を持っていないことを、迅速かつ簡単に理解してもらう必要があります。
これは、あなたのコンピューターが法執行機関に押収されるか、放置されるかの違いを意味する可能性があります。
Tor Project は、あなたが出口リレーを運用していることを他の人に知らせるために、以下の方法を提案しています。
- コンピューターが出口リレーであることを明らかにする IP アドレスの逆引き DNS 名を設定します。
- このような通知を設定して、Tor ネットワークの一部である出口リレーを運用していることを伝えます。
- 可能であれば、ISPではなくユーザーの連絡先情報を表示する出口リレーの ARIN 登録を取得してください。
これにより、悪用に関する苦情を受け取り、直接対応することができます。それ以外の場合は、ISP が受け取った不正使用の苦情を転送するようにしてください。
Tor リレーを経由して出てくる平文のトラフィックを盗聴すべきでしょうか?
いいえ。技術的には、Tor のソースコードを変更したり、追加のソフトウェアをインストールしたりして、あなたのリレーから送信される平文を監視したりログに記録したりすることは可能かもしれません。
しかし、米国の Tor リレーオペレーターは、Tor ユーザーの通信を監視、記録、開示した場合、州法や連邦の盗聴法の下で民事責任、さらには刑事責任を負う可能性があり、米国外のオペレーターも同様の法律の対象となる可能性があります。
弁護士に相談せずに、誰の通信も調べないでください。
私の Tor リレーに関連して、法執行機関や他の誰かから召喚状やその他の情報要求を受け取った場合、どうすればよいですか?
Tor について説明しましょう。ほとんどの場合、適切に設定された Tor リレーには、問い合わせた当事者にとって有用なデータを保持していません。この点については、遠慮なく教えてください。
しかし、ログを保持する限りにおいて、まず弁護士に相談することなく、それをいかなる第三者にも開示すべきではありません。
米国では、データは電子通信プライバシー法によって保護されることがあり、米国外のリレーオペレーターも同様のデータ保護法の対象となる可能性があります。
また、法律で第三者に話すことが禁止されている法的な問い合わせを受けることがあります。少なくとも米国では、このような箝口令は、代理人を探すために弁護士に電話することを含め、あなたが弁護士に相談することを妨げるものではないと考えます。
法的代理人の確保を目的とした EFF へのお問い合わせは、インテークコーディネーター (info at eff.org) までお願いします。
このような問い合わせは、弁護士と依頼人の特権の範囲内で秘密保持されます。
不正利用の苦情やその他の問い合わせへの対応の詳細につきましては、悪用に関する質問や、Tor Project のウェブサイトにある悪用対応テンプレート集をご覧ください。
法執行機関があなたのデジタル機器へのアクセスを求めた場合の対応につきましては、EFF の Know Your Rights ガイドをご覧ください。
私の ISP や大学などから DMCA 通知が届きました。どうすればいいですか?
EFF は、あなたが ISP や大学などに、デジタルミレニアム著作権法のセーフハーバーの詳細と、Tor がどのように適合するかを知らせる回答を書くのに役立つ短いテンプレートを作成しました。
このテンプレートは米国の管轄区域のみを対象としており、Tor ノードを介した著作権侵害とされるコンテンツの中継に基づく著作権侵害の申し立てに対処することのみを目的としていることにご注意ください。
もしよろしければ、通知のコピーを Lumen Database に提出することをご検討ください。送信先のメールアドレスは team@lumendatabase.org です。
これは、弁護士が注目すべき傾向や問題を認識するのに役立ちます。
Lumen では、米国外からの提出も歓迎しています。
EFF は、Tor リレーオペレーターは DMCA 第512条に基づく免責の抗弁や、著作権の二次的責任の法理に基づく抗弁を提起することができるため、Tor リレーは利用者の行為に対する著作権責任から保護されるべきであると考えています。
しかし、Tor 関連でこれらの問題を扱った裁判所はまだありません。
この不確実性に不安を感じる場合、(Tor Project によって推奨されているデフォルトのポリシーのような) 縮小された出口ポリシーを使って、著作権に関する苦情の対象となることが多いトラフィックの種類を最小限に抑えることをご検討ください。
もしあなたが Tor リレーオペレーターで、単にリレーを運用するだけでは、オペレーターにもその帯域幅プロバイダーにも著作権上の責任が生じないという明確な判例を確立したい場合、EFF はあなたからの連絡をお待ちしています。